サボテンと多肉植物とは? Cacti and succulents

「サボテン」は学術的な正式名称、
「多肉植物」は俗称!

地球上の生物は、人間はもちろん、動物、植物、昆虫から細菌に至るまですべて学術的に「分類」されています。
その中の一つとして「サボテン科(Cactaceae)」なるカテゴリーが正式に設定されており、この「サボテン科」に属している植物がつまり「サボテン」というわけです。

一方、体全体が、または葉や茎、地下茎など体の一部が肥大して、水分を蓄える機能が発達した植物を総称して「多肉植物」と呼びます。「多肉質の植物」という意味からそのまま呼んでいる「俗称」なんですね。
分類学上、「多肉植物」というカテゴリーはありません。

ベンケイソウ科に属する多肉植物もあればキク科に属するものもあり、キョウチクトウ科やヒガンバナ科など、実に50以上の「科」があり、種類の総数としては10,000種以上と言われています。

さて、ここで上記の「多肉植物」の定義からしますと、「サボテン」は体の一部どころかまさに全体が多肉化した貯水タンク!
立派な多肉植物と言えるのですが、サボテンの仲間(科)だけで3,000種以上もあるので、一般に「サボテンと(その他の)多肉植物」と分けて呼んでいるのです。

生まれ故郷の違い
サボテンはアメリカ大陸、
多肉植物はアフリカ大陸を中心にワールドワイド! Feature

さて、一言でサボテン・多肉植物と言ってもその品種の数はゆうに13,000種以上!
また先述したように、両者似ているようで分類的にはまったく異なる植物群なので、生まれ故郷、つまり原産地も種類によって異なります。
サボテンはメキシコを中心に北・中・南アメリカ大陸が原産。
一方、多肉植物の仲間は南アフリカ共和国を主にアフリカ大陸全土、マダガスカル、地中海沿岸、中央アジア~東南アジア、そしてサボテンと同じくアメリカ大陸・・と世界中におよんでいます。 日本原産の多肉植物もあります。

しかし地域が違ってもその自然環境には共通点があるのです。
強い日差し・乾燥地帯・昼夜の温度差が激しい、などがそれです。
その厳しい環境の中で生き抜くために彼らは独特の進化を遂げて、共通した「摩訶不思議な、そして神秘的な」現在の姿があるわけです。

人はこの「不思議と神秘」に魅せられるのですね。


メキシコ 断崖に生きる

南アフリカ 樹齢? もはや100年越えでしょう

サボテンの最大の特徴、
それはアレオーレ(刺座)があること! Feature

サボテンには特有のアレオーレ(刺座:読みは「とげざ」または「しざ」)があります。アレオーレとは、
トゲを生じる部位を言い、多くの場合白い綿毛を伴います。
また基本的に一つのアレオーレから複数本のトゲを出します。
このアレオーレがあるのがサボテンであり、他の多肉植物にはありません。
また、トゲも退化し、白毛だけのアレオーレを持ったサボテンもあります。
多肉植物の中にはトゲ(状)を持つ種類がありますが、これらは表皮が変形してトゲ状になったもので、
アレオーレから生じたサボテンのトゲとは質、伸び方、そして鋭さなど全く異なります。

サボテンのトゲ

  • 金鯱サボテン科

  • 烈刺玉(れっしぎょく)サボテン科

  • 鬼面角サボテン科

  • 岩石獅子サボテン科

  • ビロードウチワサボテン科

    表面の点々がアレオーレです。本種は食用にもなり、調理の時はアレオーレを削ぎ取ります。

  • ブリストリー・プセウドペクチナツスサボテン科エキノケレウス属

  • 黄彩玉サボテン科

    サボテンの花はアレオーレの刺のすぐ脇から咲きます。

  • 白星サボテン科

    このようにアレオーレからの羽毛が長く伸び、体全体を覆う品種もあります。
    これによって寒さから身を守っているのです。

  • カブト丸サボテン科アストロフィツム属

    白い大きな白点がアレオーレです。トゲは退化しています。

  • 烏羽玉(うばたま)サボテン科ロホホラ属

    白毛豊かなアレオーレ。トゲは退化しています。

多肉植物のトゲ

  • ポリアカンサタカトウダイ科ユーフォルビア属

  • エノプラタカトウダイ科ユーフォルビア属

  • キリン閣タカトウダイ科ユーフォルビア属

  • インゲンスタカトウダイ科ユーフォルビア属

  • トナカイキリンタカトウダイ科ユーフォルビア属

  • 吉祥冠アガベ科アガベ属

  • ラメリーキョウチクトウ科パキポディウム属

  • プラテンシスhyb.ススキノキ科アロエ属

  • ディッキアhyb.パイナップル科ディッキア属

  • ゴルドニーガガイモ科フーディア属

華麗な花!これもサボテンです!!Feature

クジャクサボテン

サボテン科エピフィルム属。
こう見えてもれっきとした「サボテン」です!

葉のようですが、これが本体で「葉状茎(ようじょうけい)」といいます。
トゲに覆われた一般的なサボテンたちが厳しい乾燥地帯に自生・進化してきたのに対し、クジャクサボテンの仲間は中南米の「森林地帯」が原産。

樹木などに根を張って垂れ下がって生育する「着生植物」です。

特徴は何といっても花の美しさ!
様々な色合いが追及され、交配による園芸種が数多く作出されています。
花の時期は主に4~5月、四季咲きや冬咲きの品種もあります。

月下美人(げっかびじん)

サボテン科エピフィルム属。
あまりにも有名な「純白・夜咲き・有香花」!

クジャクサボテンと同じく森林性のサボテンですが、月下美人の開花期は7~10月。
そして惜しいかな、一夜咲きです。

花言葉は「一度だけ会いたくて」「儚い夢」「艶やかな美人」。

☆クジャクサボテンも月下美人も、葉状茎のふちにくぼみがあり、そこがアレオーレ(刺座)になっています。
サボテンである証です!